健康コラム

いでしたクリニックの院長、井手下久登が、健康に関する旬の話題を、さまざまなテーマで語ります。
皆さまの健やかな毎日のためにお役に立てていただければ幸いです。

健康を損なう大きな原因は睡眠不足だった

不眠で悩む人が増えている

睡眠は健康の大きな指標です。昼間の疲れをとり、翌日に必要なエネルギーを蓄えるのに必要です。最適睡眠時間は、個人によって異なります。英雄ナポレオンは、三時間しか眠らなかったといわれています。三時間で十分な人もいれば、十時間眠らないと翌日活動できない人もいます。ストレスの多い現代社会では、不眠で悩まされる人が増えています。また、加齢とともに、眠りにくくなります。

不眠症には、(1)入眠障害(寝つきの悪いタイプ)、(2)中途覚醒(何度も目が覚めるタイプ)、(3)早朝覚醒(朝早く目が覚めるタイプ)、(4)熟眠障害(眠りが浅いタイプ)があります。

良い睡眠が昼間の疲れをとる

手足が冷えると、眠りにくくなります。睡眠不足になると、交感神経優位になり、副交感神経の働きが悪くなり、ますます冷えます。イライラし、精神が不安定になります。その結果、全身の血管が収縮し、血液の流れが悪くなり、心と体が冷えていきます。手足が冷えると、頭に血がのぼる「頭熱足寒」の状態になり、脳の神経が休まらない状態になり、眠れないのです。 われわれの健康を損なう、大きい原因は睡眠不足です。睡眠不足になると、翌日頭がボーッとして、仕事をしても、はかどらなくなります。睡眠は健康にとって大切なもので、睡眠さえとっていれば、体に病気があっても、何とか生活することができます。良い睡眠により、昼間の心と体の疲れがとれます。睡眠時間は一般的に六~七時間、とる必要があります。

眠りにくいのはメラトニンが原因

うつ病の原因といわれているセロトニンは、睡眠にも関係しています。セロトニンは、覚醒のホルモンで、朝分泌され、脳の働きが良くなります。夜はセロトニンの分泌が減り、セロトニンからメラトニンがつくられます。メラトニンは脳の松果体でつくられるホルモンです。その働きは長く不明でしたが、近年の研究で睡眠誘導作用があることがわかってきました。メラトニンの分泌のピークは七歳ごろで、四十五歳を過ぎると松果体の萎縮が始まり、六十代では二十代のころの半分しか分泌されなくなるといわれています。五十歳を過ぎたころから、睡眠障害が始まるのは、メラトニンの分泌低下が原因です。メラトニンは夜分泌され、脳と体を睡眠状態にするホルモンです。メラトニンが少ないと、ぐっすり眠れません。昼間セロトニンがたくさんあれば、夜メラトニンもたくさんつくられ、よく眠れます。昼間のセロトニンが少ないうつ病の人が、眠りにくいのは、メラトニンが十分つくられないためで、当然のことなのです。

出展:経営誌・月刊『理念と経営』 2012年9月号連載「社長・幹部の健康法」より(株式会社コスモ教育出版刊)